武道に限らず” 五 ”で始まる語彙、常套句は結構多いことはご存知だろうと思います。

  例えば、三つの他に、五行、五教、五戒、五礼、五欲、五感、五味、五情、五苦、五体、

五臓、上げ出したらまだまだ出てくる。

 武道では、宮本武蔵の「五輪書」が有名だが、兵法の道、二天一流を後世に遺す書物に

表そうとするに当り、本人が「此兵法の書五巻に仕立る事」として 「五ッの道をわかち、一ま

きまきにして其利をしらしめんが為に、地水火風空として五巻に書顕すなり」と書くように

「五輪」とは、”宇宙の万物を構成する五つの要素 「地 水 火 風 空」を表す「五輪」”に

なぞらえて付けているのはご存知の通りです。


  
  また、塩川宗家が不祥わたしに「奥傳入之書」を下さった文章の中に、

 「~以後守五常専深志於有之~」と「五常」の語句を入れておられるように、武道において

は守るべき大事な心得として記されています。

  「五常」とは、 「仁 義 礼 知 信」を意味し、「五行」や「五言」(この五つの徳に適う言葉)

なども同じ意味ですが、聡明な諸兄には一字一字の説明は必要ないでしょう。
 
  ほかに、武道を学ぶ者にとって大事な精神、心得として「五倫」があります。

   「五倫」とは、 「人として守るべき五つの教え」として、

「父子の” 親 ”、君臣の” 義 ”、夫婦の間の” 別 ”、

長幼の間に” 序 ”、朋友の間の” 信 ”」(孟子)が上げられます。




 これは、”親子には身近で親しい関係”が大事なことを諭し、現代では多くなった口も聞かな

いギスギスした親子関係が見られるなど悲しむべきことです。

今は”君臣の義”こそありませんが、これは会社等の上下関係に置き換えることが出来るでしょう。

”夫婦の間の別”とは、親しくなった夫婦でもキチンと違いや区別をつけることが必要であり、

”長幼の間の序”は、親しい中にも礼儀ありと言われるように年齢相応の礼をとることは大切で、

”朋友の間での信”は、友人同士にも誠実さ、信頼が求められると言うものです。

現代でこそ一番求められることのような気がします。



堅苦しく考えることなくせめて武道を学ぶ私たちからこの精神を拡げてゆきたいと私は考えています。
 
之と同じ意味で「五教」とも、「五品」(この五つの秩序ある関係)が用いられています。

  最後に一つ、私たちが日頃稽古でお世話になる袴。この袴には折り目の利いた襞が付け

られておりますが、これには動き易くするする目的もあります。この襞、五本あるのはご存知

でしょう。しかも、その襞は向かって<左に二本>、<右に三本>に分かれて付けられています。

その襞に意味があるのをご存知でしょうか?
 
この襞の五本は、五穀を表すと言われています。
  
その「五穀」とは、古来から人間の命を繋いできた大切な穀物、

「稲 黍(きび) 稷(しょく:こうりゃんのこと、稷の代わりに粟とも言われるようです)

 麦 豆」を表徴していると言われます。

  ” 五 ”のつく語句、常套句はまだまだありますが、

このへんで終わりにして置きましょう。

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