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~刀ものがたり~
しっとくよもやまばなし・・・・・
私は武道としての居合、剣術は好きの域を超えているが、映画やテレビの
時代劇も大好きです。
特に殺陣で実践的に動く俳優さんのものは、動きを見るのが好きです。
でも、松平健の”暴れん坊将軍”の殺陣は一寸気になります。なぜか?将軍様が
剣に強いのはドラマだから良いのですが、大勢を相手の立ち廻りでバッタバッタと
倒してゆくのは気になります。
チョッと待てよ、峰(棟)打ちでそんなに倒せるの?逆反りの棟側で次から次へ
と本当にさばいてゆけるんですかねエ。
刀の性質からいって、もちろん一番強いのは堅く強靭な刃部、次は刀の芯の部分を
含み腰もある鎬部へ、ところが峰(棟)部、ちょうど刀の上からみて背の部分は鍛えも
少なく、わらかい、これらがうまくかみ合って日本刀は折れず、曲がらず、よく斬れる
という特性を持っている。
ところがこの刀、峰(棟)から刀が強が加わると一番弱いといわれる。
史実にも、かの有名な荒木又右衛門の三十六人斬り(これはウソ)で有名な
「鍵屋の辻の仇討」で、剣豪又右衛門の持つ名刀伊賀守金道が、相手の助っ人)
槍の名人桜井半兵衛の中間「の」→に:木刀で叩かれ、中央からポッキリ折れて
しまったし、「刀剣実用論」(刀工水心子正秀と越後高田藩士上田丹治常徳、
石井弥六郎定国との往復書簡集)の実例でも二十数例があり、名刀でいうと
越前守助広、水田国重、越後守包貞、継平などが上げられている。
焼刃(刃文)の種類でいうと、大乱、大のたれ、大丁字、大出気、など華やかな
濤爛「(とうらん)乱れ風のものが多いようである。
刀の鍛えは、材料の良し悪しはもちろんだか、その材料の鍛錬の仕方により、
刀の出来映えも大きく変わってくると思われる。
地金の鍛え方は、普通まず横に鏨(たがね)を加えて折り返し、次に縦に入れ
折り返す、「十文字鍛え」の鋼素材をふいごで熱し、金槌で叩いて鍛え、
これを繰り返すと、鍛えた鋼の重ねは1,024枚にもなる。先に上げた
刀工水心子正秀、20回も折り返して鍛えるという、20回ではナント1,048,576枚
それにしてもスゴイ数にもなり、故佐藤寒山先生 (元国立博物館刀剣室長、
刀剣博物館副館長、全剣連八段範士)によると、百万回を越す鍛えをすると、
鍛えなかったことと同じになり実際はあり得ないのではないかとおっしゃっています。
折れにくい刀か否かで鎌倉の名工、一文字助真一門と大進坊祐慶一門が実際に
斬り合いの死斗を演じ、勝ったのが折れない刀を実証した助真派だったという話がある。
この助真派」をに伝わる秘法を、江戸時代1600年後期(貞享・元禄の頃)「加卜」という
刀工(晩年水戸光圀のお家鍛冶に)が、苦心の末修得して鍛えたのが”真ノ十五枚
甲伏の鍛法”という秘法で、これにより打ち上げた刀で牛の首を一刀のもとに切り落した
ほど切れ味抜群だったという。
(「加卜」の頃は神坂次郎著「兵庫頭の叛乱」”牛斬り加卜”より引用)
この十五回の打ち返しによる鍛えは、32,768枚の重ねに達し、地肌模様も非常に
細かな小板目肌となり、つんで地沸が厚くついたものを梨地肌といい、数少ない優れ
ものとなる。
これほどの鍛えものなら、少々の峰打ち位では折れることもないでしょうが、
やはり刀は刃筋を通して正しく斬るもの。
峰打ちなどは逆反りもあって斬り抜けにくいし、
相手と相当腕の差があるか、せいぜい2~3人程度でないと、
刀が折れ命を落しかねない危険な刀遣いという
ことになりそうです。